ネットショップを開業するには

ネットショップとは何か? ネットショップを開くには、売上をアップさせて成功するにはどうしたらいいのか? この記事では、ネットショップについての全般的な知識をお届けします。

ネットショップとは

ネットショップの開業、運営について

ネットショップとは、言ってみれば「インターネット上に開いたお店」です。パソコン、スマホ、タブレットなどの端末を使い、ウェブサイト上で商品やサービスを選び、オンラインで決済を行うかたちのお買い物が「ネットショッピング」です。

電子商取引 (EC/Eコマース)」という用語で挙げられることもあります。

ネットショップが注目されている

コロナ禍によってオンラインショッピングが注目されている、と言われています。それは現実に数字にも表れています。

BtoC-EC市場規模の経年推移 (令和2年度産業経済研究委託事業[電子商取引に関する市場調査])

2021年7月に経済産業省が発表した電子商取引に関する市場調査の結果によると、2019年から2020年にかけて、オンライン取引全体の市場規模は縮小したにもかかわらず、物販にかぎると20%以上もの伸びを示しました。

引用元 : 電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)

「外出をひかえて、ものを買うのはオンラインにしよう」という行動をとる人がそれだけ増えた、と考えられるでしょう。

ネットショップとECサイトの違い

「ネットショップ」という言い方以外にも色々な呼び方があります。

  • Eコマース・電子商取引
  • ECサイト
  • オンラインショップ
  • ショッピングサイト
  • ネット通販
  • ウェブ通販

厳密にいうと、それぞれの語は商売の立場や視点の違いを表しています。ですが実際のところ、多くの人は自分にしっくりくる・知っている表現で言っているだけ、ではないでしょうか。

ネットショップは個人でも開業できる

ネットショップは個人でも開業できます。ショッピングカートシステムの中には月額費用が0円のサービスもあります。うまく運営できれば、ネットショップで生計を立てることも十分可能です。

ただし個人でネットショップを開業するにはいくつか注意すべき点もあります。

  • 個人事業主として開業届を出し、売上に対する所得税をきちんと払わねばなりません。やらなければ「脱税」です。
  • ショッピングサイト上で、責任者として本名と住所(もちろん番地まで)と電話番号を公開せねばなりません。やらなければ法律違反です。
  • クレジット決済代行サービスの中には、法人でなければ契約してくれないサービスもあります。個人事業主でも利用できる決済サービスをチェックする必要があります。

ネットショップを開業するのに必要なこと

ネットショップを開業するのに必要なことは、ものすごく簡単にいうと次の3つです。

  • 商品
  • 商品と代金の交換方法
  • 販売する場所

この3つさえ整えば、いちおう商売を始めることが可能です。現実のお店 = リアル店舗と、やっていることは同じです。

オリジナルな商品、または、仕入れ先

売るもの = 商品。「何屋さん」をやるのかが決まっていることが必要です。また、必要な売上を立てられるだけの十分な数の商品を確保する必要があります。

決済方法と配送方法

代金を受け取る方法と、商品を届ける方法を決めます。ネットショップでは、代金を現金で受け取ることができませんから、何らかのオンライン決済を用意する必要があります。また、商品を毎回自力で届けるわけにいきませんから、宅配便や郵便などの配送方法を用意します。

販売サイト

「売る場所」= お店を作ること。ネットショップの場合はウェブサイトそのものが「お店」です。お店の役割は、お客さまに商品を見せて特徴を伝えることと、購入の手続きをしてもらうことです。

商品の特徴を伝えるためには、魅力的なウェブページを作る必要があります。また、商品の写真を撮るためにカメラや撮影環境が必要なこともあります。購入の手続きにはショッピングカートというプログラム (仕組み) が必要です。

ネットショップ開設には「カート」が必須

ショッピングカート機能
商品を「カートに入れる」動作や決済など、ネットショップにはプログラムが必要です

ネットショップには、プログラムが必須です。

ネットショップでは、お客様と直接対面しません。お客様が買い物をするには、大変複雑な情報の取り扱いを無人で行わねばなりません。「選んだ商品は何と何で、全部でいくらになるか」とか、「ご希望の配送方法は何で、送料はいくらか」、「決済サービスへカード情報を送信する」など。だから、プログラムが必須なのです。

そのプログラムは、とてもじゃないけど一般人が自作できるようなものではありません。

そこで、ネットショップを開設するには「ショッピングカートシステム」や「ネットショップ運営サービス(ASP)」を契約するのがふつうです。

「ネットショップASP」とは

カラーミーショップの管理画面
「カラーミーショップ」の管理画面。商品管理や顧客対応などいろいろな機能があります

ここでいう「ASP」とは、「アプリケーションサービスプロバイダ」の略です。

ネットショップを運営していくにあたっては、商品ページ作成や顧客管理など、いろいろな仕事・作業が発生します。ネットショップASPは、ショッピングカートシステムに加えて、いろいろな作業がウェブブラウザ上 (またはアプリなど) で行える機能を提供してくれます。

ネットショップASPには、たとえば次のようなサービスがあります。

どんな機能が提供されるか、使い勝手、契約料金などはサービスによって違います。

「モール出店」とは……楽天、Yahoo!、Amazon

ネットショップを開業する方法はASPの他にも、大手ショッピングモールサイトへの出店、「モール出店」もあります。モールとはたとえば、楽天、Yahoo!ショッピング、Amazonです。

例えるなら、ネットショップASPが「機能やツールを借りて、自分の店をゼロから作る」のに対し、モール出店は「大きなショッピングモールの一角に場所を借りて商売をする」というイメージです。

モール出店の最大のメリットは、巨大なモールそのものが持つ信頼性のおかげで、比較的売れやすいことです。「ネットのお買い物はだいたい楽天、だって楽天ポイントがつくもんね」というお客さまも多いので、その場合は単独の店舗よりも楽天内のどこかのほうが有利なのです。

ネットショップで売れる商品ジャンルとは?

ネット通販で流通量が多いのは家電、PC関連、服、食品、生活雑貨、家具です。ただ、ジャンルが違っても共通して「こういうものはよく売れやすい」といわれている条件は存在します。

たとえば、こんなものはネットショップで売れやすいといわれています。

  • 重くて運びづらいもの
  • 生活必需品
  • ある地方にしかないもの
  • 対面では買いにくいもの
  • 限定品やオリジナリティのある商品

昨今、あらゆる商品がネットショップで買えます。「どんな商品でも売り方次第で売れる」とはいえ、ネットで売りやすい商品を選ぶにこしたことはありません。

個人運営など小さいネットショップの場合は特に、ほかにはない特徴のある商品を扱うほうがいいです。

たとえば「とある個人の方が、日用品を色々幅広く売っているネットショップ」は、おそらく成功しないと思います。値段では絶対に大手に勝てないので、誰しも「いや、Amazonで買うわ」と思うからです。

でも「Amazonにも売ってない特別な商品」や「どうしてもこのお店から買いたいと思わせる魅力」があれば、個人運営のネットショップでも勝機があるのです。

ネットショップ開業にかかる費用

ネットショップの開設と運用にあたってかかる費用には、主に次のようなものがあります。

  • ネットショップASPやモールの利用料 (初期費用 + 月額/年額利用料)
  • ショッピングサイトの制作費 (外注する場合)
  • 商品ページの制作ツール (自作する場合 : デザインソフト、カメラ、撮影ブースなど)
  • 決済手数料
  • 配送料
  • 商品の仕入れ代金
  • 梱包資材の代金
  • 販促物や同梱物の印刷費 (外注する場合は +制作費)
  • 広告費
  • 人件費 (配送や制作スタッフを雇い入れる場合)

ショッピングサイトの制作を全て自分で行うならば制作費はかかりませんが、外注するなら費用がかかります。制作費は、外注先によって費用はまちまちです。

また商品を新しく追加する場合は、商品ページも新たに作らねばなりませんので、外注するならその都度費用がかかります。一方自分で制作する場合でも、写真撮影の機材や制作ソフトなどは自前で用意が必要です。

広告費や人件費も、運営のしかたや規模によって大きく差が出る部分です。

ネットショップの決済方法について

ネットショップでは現金のやり取りができませんので、何らかの決済方法を用意する必要があります。ネットショップでよく使われる決済方法には次のようなものがあります。

  • 銀行振込
  • コンビニ支払
  • 代引き
  • クレジットカード
  • バーコード系電子決済
  • 電子マネー

どの決済方法を用意するか

お客様の立場で考えるならば、使える決済方法が多いほうが喜ばれます。自分に都合の良い方法が選べるからです。

一方、ネットショップを運営する立場で考えると、決済方法が多いほど手間が増します。決済方法の数だけ、確認や処理の方法が多様になるからです。

ネットショップでどの決済方法を用意するかを決める際には、以上のような利便性と手間のバランスを考慮する必要があります。また、客層によっても好まれる決済方法が違います。

決済代行は別途申し込む必要がある

電子決済やクレジットカードを利用するためには、決済代行サービスを契約する必要があります。決済代行を申し込むには、多くの場合、ショッピングサイトが既にできあがっている必要があります。これは、ネットショップAPIやモールの契約とは別途必要です。

ネットショップを売上アップさせるには

個人でもネットショップをカンタンに出すことができる時代になりました。ただし注意点があります。

「ネットショップを開設しさえすれば売れる」というのは幻想である

ネットショップが成功するためには、開業したあともいろいろな工夫・施策が必要です。

売上アップのためにやるべき施策は、多岐に渡りいろいろなものがあります。そこで、まずは基本的な3つの視点を知っておきましょう。

  • 集客
  • 接客
  • 追客

それぞれの段階でやるべきことの例は、次のとおりです。

集客……ショップサイトを見にきてくれる人を増やす。やることは、広告を出す (リスティング広告・モール内広告)、SEO、SNSの活用など。

接客……ショップサイトに来てくれた人により満足してもらう。やることは、商品ページの改善、価格や送料の見直し、カートの導線の改善など。

追客……すでにお買い物をしてくれた人に対する接客。リピート購入をしてもらえるように工夫する。やることは、メルマガ、LINEやSNSの活用など。

同業者の話やネットで拾った情報から「あれがいいらしい」「これがいいらしい」とやみくもに手を出すのでははく、3つの視点から考えて、いま足りないことが何かを把握しながらやることが大切です。

ネットショップ成功のための戦略

ネットショップとひとことで言っても、扱っている商品も事業規模もさまざまです。なので、「◯◯さんのネットショップではこれで売上が伸びたらしい」と聞いてそのまま真似をしても、うまくいくとは限りません。

例えば、「SNSでバズって売れた」という話を羨ましがっている運営者さんは多いと思います。たしかに、スイーツや小型家電などはバズってよく売れることがあります。これは、衝動買いを誘いやすいためです。

しかし、大型物置や結婚指輪が「バズって売れ」たりはしません。誰も衝動買いなどしないからです。このように、何でもかんでも「SNSでバズ」を狙えばいいとは限らないのです。

売上をアップさせるために、自分の/自社のネットショップにはどんな戦略が有効か。知った上で運営するのが成功への近道です。

ネットショップの特徴ごとにみると、一般的には次のような考え方が有効です (細かい点はショップによって最適解は違います)。

商品数が多いか少ないか

  • 商品数の多いネットショップでは、一般的な商品も多く扱って広げていくほうが伸びやすい。
  • 商品数の少ないネットショップでは、他にはない特徴のある商品を扱わないと売れにくい。

商品の知名度があるか、そうでないか

  • みんなが知っている有名商品を扱うネットショップでは、シンプルな商品ページで回遊性を高めるのが良い。
  • あまり知られていない特別な商品を扱うネットショップでは、長めの商品ページを用意しできるだけ長くとどまってもらうのが良い。

運営者が企業か、個人か

  • 事業規模の大きいネットショップでは、広告費を多くかけて薄利多売で伸ばすことが可能。
  • 事業規模の小さいネットショップには薄利多売モデルはできないので、コミュニティ造成やリピート利用促進が特に重要。

ショッピングカート、ASPの選び方

ネットショップを開業するためには、まずは「どこで開店するか」を決めなければなりません。すなわち、ショッピングカート、ASP、モールなど、どれを選ぶか、です。

ネットショップ開業の手順は、ざっくりいうと次のとおりです。

  1. 扱う商品を準備する
  2. ショッピングサイトを作る (店名を決める、独自ドメインを取得する、必要であれば制作会社に依頼する、など)
  3. 決済代行の申し込み
  4. 開店

決済代行の契約にはほとんどの場合ショッピングサイトの確認が必要なので、まずはショッピングサイトをつくることになります。

ネットショップASPは各社ありますが、手数料や使い勝手など、特徴はさまざまです。

ただ、ネットショップの「引越し」というのはかなり大変です。「とりあえず手数料の安いところにしておいて、売上が伸びてきたら乗り換えよう」と考えていると、その乗り換えの際に膨大な手間がかかる可能性もあるのです。

できれば開業のときにショッピングカート、ASP、モールなどを十分比較検討して、目指すショップ像に近づけるようなサービスを選ぶのがおすすめです。

ショッピングカート、ASPの選び方→