メール配信システム・メルマガ配信ツールを比較・検討してみた。私たちウェブメディア運営会社が選んだのはこれ

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メルマガ配信や、顧客にメールを送るのに使う「メール配信システム」。ちょっと乗り換えを迫られたのでいろんなサービスを調べてみました。そのまとめです。

私たちは結局「オートビズ」というサービスに決めたのですが、人 (会社) によってマッチするサービスは違いそうだな、というのが調べてみた印象です。

ちなみにメール配信システムの値段は配信数やメール登録数が多いほど高額になる場合が多いです。

メール配信を無料でやる方法についても調べてみました。参考になれば幸いです。

メール配信システム比較

前提として、メール配信サービスは利用する規模によって各社いくつものプランがあり、サービス名だけで比較するのが難しいです。そこで、私たちが必要とする条件にマッチするプランはどれ? という基準で調べてみました。それがこの下にある表です。

条件は次のとおり。
私たちは地域情報ウェブメディアを運営していて、メルマガと、ほかに運営しているいくつかのサービスの登録者にメールを届けたいので、送るメール数はあまり多くはありませんが、グループ分けは必要です。

  • 登録メールアドレス: およそ3,000件
  • メール配信は月3回くらい ( ≒ メール9,000通)
  • 迷惑メール対応設定 (SPF、DKIM等) は必須とする
  • 配信のグループ分け (登録アドレスを複数に分けてそれぞれ違うメールを配信する) が必要
サービス名参考プラン登録可能アドレス数配信メール数 (月)初期費用月額
ライト50,00010,00011,000円2,934円
エントリー + 作成者署名DKIMオプション6,00050,000なし3,300円
(プラン名なし)無制限無制限4,980円10,000円
Standard10,000無制限10,000円8,000円
める配1010,00060,0008,800円4,950円
配配メールStandard10,000見積20,000円20,000円~
WEBCAS e-mail(プラン名なし)見積見積30,000円10,000円〜
ベンチマークPro/5,0005,00075,000なし9,775円
mailchimp (メールチンプ)Essentials/5,0005,00050,000なし5,750円
SendGrid (センドグリッド)Pro/100,000100,000100,000なし14,000円

どのメール配信サービスがおすすめ? といっても、要件は使う人 (会社) によってまちまちだから一概には答えにくいのが正直なところ。

というわけで、以下それぞれのサービスについてポイントを挙げてみますので、あなたにマッチするメール配信サービスを探してみていただけたらと思います。

オートビズ

  • ステップメール: あり
  • 迷惑メール対策: SPF・DKIMの設定可能、DMARC対応
  • フォーム作成: 30個 (ライトプラン)
  • 無料プラン: なし

2002年から提供されている老舗サービス。迷惑メール対策もしっかりとされており、メールが届きやすいという評価が多いようです。

他サービスにない機能として、オートビズではLINE配信ができます (この記事時点ではβ版)。メルマガとLINE配信をうまく使い分け、あるいは組み合わせてよりきめ細かいマーケティングができます。ただしLINE側のビジネスアカウント作成や有料プラン加入などは利用者が自分でやる必要はあります。

さぶみっと

  • ステップメール: なし
  • 迷惑メール対策: DKIM利用はオプション (月額1,000円)
  • フォーム作成: あり
  • 無料プラン: トライアル14日間

初期費用がないので大変とっつきやすいです。メールアドレス6,000件のプランでも月額2,200円と大変リーズナブルです。注意点としては、作成者署名DKIMがオプション料金であるということ。このオプションは必ず利用したほうがいいです。

ワイメール

  • ステップメール: あり
  • 迷惑メール対策: SPF・DKIM設定可能、DMARC対応
  • フォーム作成: あり (個数不明)
  • 無料プラン: お試し14日間

他の利用者と共用しない専用サーバー、専用IPアドレス、専用ドメインでの配信環境を安価なサービスながら整えています。料金は登録メールアドレス数・メール配信数無制限のひとつのプランだけというシンプルさ。年間まとめ払いよりも継続払いのほうがお得です。

ブラストメール

  • ステップメール: なし
  • 迷惑メール対策: DKIM設定可能 (ただしStandardプラン以上)
  • フォーム作成: あり (個数不明)
  • 無料プラン: 無料トライアル7日間

基本プランが3種類あり、登録メールアドレス数によって値段が変わります。メール配信数はどのプランでも無制限です。ということで、メルマガやお知らせをまめに送信したいという方にはおすすめです。

注意点として、迷惑メール対策の設定 (SPF・DKIM設定) は必須と思ってもらったほうがいいので、Lightプランは実質選択肢に入らないのがちょっと残念。

める配くん

  • ステップメール: あり
  • 迷惑メール対策: SPF設定は一部のユーザー、DKIM設定はオプション (5,500円)
  • フォーム作成: あり (個数不明)
  • 無料プラン: トライアル2週間

送信元アドレス数に制限があるので、複数サイトの同時運営などを考えている人はちょっと注意が必要です。送信元アドレス数はプランによって違いがあって、月額5,000円弱の「める配10」プランでは3つとなっています。

他社であまりない面白い機能として、SMS送信機能というのがあります。登録ユーザーの電話番号を預からないといけないので登録時の注意書きなど色々気をつけるべきことがありますが、SMSは到達率が高いので工夫次第で効果的な使い方ができそうです。

配配メール

配配メール

個人的に、デジタルセールスに携わっている方から「使いやすいおすすめメール配信システム」として名前が挙がるのを聞きます。私たちも以前使っていたこともあり、レポート画面がみやすく、便利な機能もひととおり揃っているので大変快適です。

ただ、2024年中に値上げが予定されているようです。セキュリティ周りの機能強化によるものということなので、零細ユーザーよりも大きめ規模の企業をターゲットとして堅牢なサービスを目指しているのかなという気がします。

WEBCAS e-mail

webcas e-mail

大手企業の利用が多く信頼性の高いサービス。FAQに書かれていますが、利用する側にも審査があります。迷惑メールを送るような企業が利用するとサービス全体の質が落ちるので、そうやって信頼性を保っているそうです。クラウド版とオンプレミス版があり、価格など詳細を知りたければ問い合わせが必要。

ベンチマーク

Benchmark ベンチマーク

アメリカ発のメール配信システムですが日本語サービスにも対応しています。値段は基本プラン + メールアドレス数によって変わります。

個人的に気になったのは、Shopifyとの連携機能やマーケティングオートメーションのような機能があること。こうした機能を使いこなせるならばかなり強力なツールになりそうです。

mailchimp (メールチンプ)

mailchimp

2001年創業と古くからあるアメリカのメールマーケティングサービス。サービスが日本語非対応でありながら日本の利用者もそこそこいますので、それだけの使いやすさと安心感があるようです (料金はちゃんと円で表示してくれます)。

SendGrid (センドグリッド)

SendGrid

こちらもアメリカのメール配信サービスですが、日本では構造計画研究所が正規代理店として販売しており、日本語でサービスが受けられます。特徴的なのはAPIが使えることで、エンジニアがいればウェブアプリと直接連携して顧客情報やメール配信レポートを自動でやりとりできるようです。

メルマガ・メール配信、無料でやる方法はない?

メルマガやメール配信を、無料でできないか? についても調べてみました。

まず、先ほど紹介したメール配信サービスの多くに無料トライアルがついていますので、気になるサービスがある方は無料トライアルを利用してみるといいでしょう。

無料トライアル以外で、無料でメール配信ができる方法には次のようなものがあります。

サービス名コメント登録可能アドレス数配信メール数 (月)
レンタルサーバーの機能としてメルマガ配信がついている1,000メルマガ20件 (ビジネスプラン)
HubSpot (ハブスポット)CRMツールの無料プラン。送信するメールにHubSpotのロゴが入る無制限2,000
theLetter (ザ・レター)個人メディア運営プラットフォーム。有料メルマガができる無制限無制限

以下、それぞれ説明します。

エックスサーバー

よく知られたレンタルサーバーですが、サーバーの機能としてメルマガ配信機能がついています。登録可能メールアドレスが1,000件と小規模ですが、期間限定の無料トライアルとは違って、いつまでも使えます。

フリーランス等で顧客に一斉お知らせを送るなどの用途なら十分ではないでしょうか。

ただし、メール配信によくある便利な機能、すなわちグラフィカルなメール作成画面や細かいレポート、複数のフォームなどはついていないので、そうした機能が必要ならばメール配信サービスを検討したほうがいいでしょう。

ちなみにレンタルサーバーのロリポップにもメールマガジン機能がついているようです。こちらは登録アドレス数500件です。

HubSpot (ハブスポット)

ハブスポット

HubSpotは無料プランがあり、月に2,000件までのメールが送信できますが、メールにはHubSpotのロゴが入ります。

HubSpotはメルマガ配信ツールではなく、CRM、つまりBtoBのマーケティング&営業でよく使われるツールです。無料でかなり色々な機能がついていて、問い合わせフォーム、ミーティング予定設定機能なども無料で使えるので、メール配信は別にしても上手く使いこなせると嬉しいツールです。

ただし、HubSpotの本質は顧客と1対1の関係性を築いていくという営業手法のためのツールなので、顧客に継続してお知らせを送りたい、という用途のほうが向いています。そのほかにBrevoというCRMサービスの無料プランでも日に300件までのメールが送れます (ただしサービスは日本語非対応)。

theLetter (ザ・レター)

theLetter

theLetterは、すでに個人で有料メルマガを運営されている方の移行先とか、ニッチなテーマを持ったメルマガをやりたい方にはとてもいいサービスのように思います。

無料で始められ、有料メルマガで売上が出るとそのうちの何パーセントかを天引きされる仕組みです (noteみたいな感じですね)。配信したメルマガはひとつのウェブページにまとまって、ユーザーがコメントをつけたりできます。

一方でサービスのお知らせを定期的に送るような、マーケティング性の高いメルマガにはちょっとお門違いな感じがします。

» theLetter (ザ・レター)

メール配信システムを選ぶポイント

さてここまでいろんなサービスを挙げてきましたが、メールマガジン・メール配信システムを選ぶためのポイントについて説明します。

  • 用途・機能 (メルマガ、ステップメール、ABテストetc)
  • 登録可能なメールアドレス数 & 配信可能なメールの件数
  • フォーム作成機能
  • 迷惑メール対策機能
  • 値段

用途・機能 (メルマガ、ステップメール、ABテストetc)

最初のポイントは、何のために使うのか、どんな機能が必要なのか、という点です。どのサービスでもメルマガはできますが、それ以外にも、例えばネットショップで購入した人にその後期間を開けて連続してお知らせを送る「ステップメール」、効果的なメール文面を調べるための「ABテスト」などの機能を提供しているサービスもあります。

「メルマガ」は大勢への一斉配信ですが、あるいは、ユーザーを細かくグループ分けして内容を送り分けたり、ステップメールを利用したりといわゆる「メールマーケティング」を実行していくこともできます。いろんな機能があると嬉しいですが、一方で自分達がどのくらいのパワーや手間をかけられるか、という点も考えておきたいところです。

そのほか、1アカウントで複数の作業ユーザーIDを発行できるサービスもあると便利です。

登録可能なメールアドレス数 & 配信可能なメールの件数

メール配信サービスの多くは、登録可能なメールアドレスと配信メール数がプランの大小に関わってきます。自分達の顧客数をカバーできるサービス&プランを選ぶ必要があります。

例えばメルマガの登録者数が3,000名なら、1回の配信でメールが3,000件、週に1回の配信なら月におよそ12,000件のメールを送ることになります。

その数が大きいほど高額なプランが必要ですが、中には送信数無制限のサービスもあります。

フォーム作成機能

メルマガを登録するフォームを設けられる機能は、どのサービスにも用意されていますが、利用できる数に違いがあったりします。

迷惑メール対策機能

配信システムから送ったメールが、受け取り側で迷惑メールとして判定されて届かない・読まれないということがあります。そこで、できるだけ迷惑メール扱いされないために、サーバーや送り主の信頼度を上げる技術的設定があります。

これらの設定が可能なサービスを選びたいですね。オプションになっている場合もあるので、面倒ですが必ずチェックしたほうがいいです。

用語としては次のようなものが出てきます。

  • SPF……送り主のメールアドレスが他のドメインからなりすましをされていないことを示すための認証
  • DKIM……送信したメールが改ざんされていないことを示すための電子認証
  • DMARC……なりすましやフィッシングを防ぐために、SPFとDKIMを拡張して作られた認証プロトコル
  • Gmail対応……GoogleはGmailアドレス宛への一斉配信メールに対して要件を設けており、これを守らないとGmail宛のメールは全て迷惑メールとして扱われてしまう。SPF、DKIM、DMARCを正しく設定するほかに配信解除が簡単にできるようにすることなどの要件がある。
    » メール送信者のガイドライン – Google Workspace 管理者 ヘルプ

ちなみに、こうした設定は利用者自身で設定する必要があり、なおかつ、設定をしたからといって「100%届く」ようにするのは不可能です。以上理解しておきましょう。

メール配信システムの値段相場

メール配信システムの値段は、主にサービス内容と配信数で変わります。
私たちの条件 (3,000通前後) で探してみた結果、月額3000円〜10,000円のサービスが多いようでした。

配信数が万単位になると月額3〜5万円前後、10万通を超えると個別で見積、といったあたりがメール配信システムの値段のざっくりした傾向のようです。

オートビズに決めた理由 (うちの事情)

私たちが使っていたメール配信サービスが値上げすることになり、機能としては不満はなかったのだけど、私たちの使いようにしてはさすがに高すぎるんじゃないかということで、乗り換えを検討していたのでした。

それでメール配信サービスを各社色々と探してみて、それが今回の記事を書いたきっかけなのですが、結局、うちはオートビズを使ってみることにしました。

迷惑メール対策もしっかりとされており、メールが届きやすいという評価が多いのが良かったです。なおかつ、私たちが求める機能がついていて、値段もリーズナブルというのが選んだ理由です。

LINE配信ができるのもポイントでした。私たちは以前ネットショップでLINEアカウントを運用していたのですが、あまりうまく使えてはいなかったのです。メルマガと紐つける機能があると色々とやり方が改善できるんじゃないかという期待もあります。

とにかく、メール配信サービスは決めたらそれで終わりじゃなくて、大切なのは、ちゃんと活用していくことです。メルマガや顧客メールをどんな内容で、どんなタイミングで、どのくらい送るのか、というあたりをちゃんと学んで構築していかないと、利用料がもったいないだけですからね。

メルマガや顧客メールの利用法や、オートビズを使ってみての感想などまた時間ができたら別の記事でお伝えします。それでは!