E-A-Tとは、Googleがウェブサイトの品質を評価する指標として重要視している概念です。つまりいわゆるSEOにも大いに関係のあることです。
この記事では、なぜE-A-Tが重視されるのか、E-A-Tが高く評価されるウェブサイトを作るにはどうすればいいのか、を説明します。
E-A-T とは?
E-A-Tは英語で「Expertise, Authoritativeness, and Trustworthiness」の頭文字をとった造語です。日本語でいうと「専門性、権威性、信頼性」という意味です。
E-A-Tが高いウェブページは品質が高いと判断されます。ウェブページの品質が高ければ検索結果においても有利です。したがって、E-A-TはSEOに重要な要素だといえます。
Googleが検索結果の判断についてまとめた書類 Search Quality Rating Guideline (検索品質評価ガイドライン)にはE-A-Tという単語が100回以上登場しており、いかに重要視されているかがうかがえます。
Search Quality Rating Guideline (検索品質評価ガイドライン)
専門性・権威性・信頼性とは
専門性・権威性・信頼性とは、次のような判断基準のことです。
- 専門性(Expertise)……そのコンテンツを作った人がその話題についてどれほど専門なのか
- 権威性(Authoritativeness)……そのコンテンツを作った人がその分野でどのくらい認められているか、そのコンテンツとウェブサイトそのものがどれくらい影響力があるか
- 信頼性(Trustworthiness)……そのコンテンツを作った人がどのくらい信頼できるか、そのコンテンツそのものにウソがなく、信じられる内容かどうか
なぜE-A-TがSEOに重要になったのか?
なぜ、最近になってこの E-A-T という言葉がやたらといわれるようになったのか? その理由はこのひとことにつきます。
Googleは、検索結果に「ちゃんとした」ウェブページを表示させたい
近年、スマホの普及のおかげで、もともとインターネットになじみのなかった人たちにも検索をする機会が増えました。
検索結果の上位にウソや信頼性の低い情報が流れていれば、それに騙される人も発生します。すると、Google自体の信頼性が低く見られることになります。これは企業価値の低下、ようは株価の低下にもつながっていきます。わりと由々しき問題なのです。
だからGoogleは、できるだけ質の高いウェブページを検索結果に表示させたいのです。「質の高いウェブページ」はE-A-Tが高いはず、とGoogleは考えています。E-A-TがSEOに重要だと言われるようになったのは、これが理由です。
E-A-T指標が導入された背景 – 低品質なまとめサイトの撲滅
過去には実際に、信頼性の低いウェブサイトが問題を起こしたことがあります。例えばニュースでも話題になった、大手企業による低品質なメディアサイトの件があります。
低いモラルに基づいて作られたメディアサイトは、ライターに格安の報酬で発注して記事を書かせ、ウソやパクりが横行する質の低い記事を量産しました。
まだE-A-Tの指標がなかった頃で、低俗な記事でもテクニック次第で検索結果の上位に表示させられたのです。結果、その内容を鵜呑みにした人が実際に被害に遭ったケースも報告されました。
当然、Googleがこのような状況を看過するはずはありません。これ以降、Googleは記事の信頼性や品質による評価を強めていきました。
「E-A-Tが高い」と評価されるのはどんなウェブページか
有益で、専門的な知識によって書かれていて、正確な情報が書かれているページは「E-A-Tが高い」と評価されます。
E-A-Tの判断基準の例として、次のようなトピックが挙げられています。
医療のアドバイス……医師や資格を持った人や組織が作成すべき
ニュースサイト……プロのジャーナリストによって書かれ、事実に基づいていて、適切な手順のチェックを受けた記事かどうか
科学の情報……専門知識を持った人や組織が作成していて、証明済みの理論に基づいていたり、根拠が示されている内容かどうか
財務や法律のアドバイス……信頼できる情報源に基づいていて、最新の情報に更新されているかどうか
家のリフォームや子育てに関するアドバイス……高額で生活に大きな影響を与える商品や、人の今後の人生に大きく関わることがらについても、専門家や経験豊富な信頼できる情報源に基づいていること
趣味に関するアドバイス……写真やギターなどの趣味のコンテンツであっても、専門知識に基づいて書かれているほうがよい
「専門家」でなければ書いてはいけないのか?
「専門性・権威性が求められる」というのは、「プロや有資格者が書いた記事以外は検索結果に出なくなる」という意味ではありません。また「権威ある大学で専門教育を受けた人が書くとE-A-Tが高い」という意味でもありません。
「書いた人が有資格者ではない = 低く評価される」とはならない
Googleの検索品質評価ガイドラインでは、次のような例が挙げられています。
- 多くの人が製品のレビューを書く。これらは有益ではあるけど、書いた人は製品の開発者ではない。
- 家族ががんとともに生きている人たちのフォーラム。同じ状況にある人たちにとって非常に有益な情報ではあるけど、この人たちは医師ではない。
このようなコンテンツが「開発者や医師が書いたものではないから」という理由で低く評価されたりはしない、ということです。
専門 = そのトピックを真剣にやっている人
誰に何を伝えたいかによって、何が「専門」と言えるのかは変わってきます。
例えば、ギタリストはギターのプロです。ギタリストが書いた演奏方法の記事はどう考えても専門性・権威性が高いでしょう。
でも、素人の初心者がギターの記事を書くこともできます。もし、その素人さんの書いた記事が素晴らしくて「未経験から上達していくプロセスを教えてくれる専門家」とみなされれば、E-A-Tの評価はそれなりに高くなると思われます。
そのテーマが誰かにとって役立つものであり、ウソや欺瞞なく、コンテンツを真剣に作ることが大切なのです。
「E-A-Tが低い」と評価される例
逆に、やってはいけないこと/目指してはいけないことは何かを知りましょう。次のようなコンテンツのウェブページは「E-A-Tが低い」=「品質が低い」と評価されます。
ヘイトや危害をおよぼすコンテンツ
- 憎悪/ヘイトを広める
- 危害を加える
- ユーザーに誤解を与える
- ウソを流す
ヘイトや嘘をわざわざ流したい人はほとんどいないとは思いますが、善意のコンテンツでも誤解や根拠のない情報 (「みんながそう言っているから」など) を書いてしまうことはあり得るので、注意が必要です。
品質が低いコンテンツ
こういうコンテンツも作らないようにしましょう。
- 誰でも知っていることしか書いていないコンテンツ
- 他サイトからパクった記事
- 文法的に間違いだらけの文章
E-A-Tを高めるには: 一朝一夕では叶わない
E-A-Tが高いと判断されるために基本的にすべきことは、正しくて有益な情報を掲載することと、誰が書いたかを明らかにすることです。
「メタタグを追加すればいい」とかではない
E-A-Tが高いと判断されるためは「HTMLでこのメタタグを追加したらいい」とか、「どこかのサイトに登録すればE-A-Tが高まる」とかではありません。もしそういうことを吹聴するウェブ業者がいたら、警戒したほうがいいです。
「信頼性」「専門性」「権威性」は一瞬では高められない
何かをすれば一瞬でE-A-Tが高いと評価される、そのような方法は存在しません。
例えばお店の場合、レビューの数値が高いと「信頼性」にいい影響がありそうです。ですが、レビューで高い数値を得るには、普段から良いサービスを心がけるしかありません。
「専門性」「権威性」についても、今日明日で一気に「専門性が高まる」なんてことはあり得ないですね。普段からそのトピックについての活動を重ねた結果「専門性」がつき、周りから認められてようやく「権威」が出てくるのです。
ようは、E-A-Tが高いと評価される = SEOに強いウェブサイトを作るには、ある程度の期間にわたって真摯に取り組むしかないといえます。抽象的ですが、これが最大のポイントだと思います。
小手先のSEOテクニックは無意味
その昔、SEO (検索エンジン対策)といえば、検索エンジンの裏をかいて検索順位を上げさせる数々のテクニックのことでしたが、そういう行為はもはや意味がないということがこのE-A-Tという指標の存在から読み取れます。
低品質なページを作ってもSEOでは評価されないので、ページを量産して収益につなげようとするような手法はとても厳しいです。