「モール出店」とは? ネットショップ開業について

「ECモール」「モール型ECサイト」と呼ばれるネットショップがあります。楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonがその代表です。

ネットショップを「モール」に出店するとはどういうことなのか、単独でネットショップを構えるのとはどう違うのか。以上についてこの記事ではかんたんに解説します。

ネットショップ開業の方法をおさらい

ネットショップを開業する ≒ ショッピングサイトを構築する方法は、大きく分けると次の3つがあります。

  1. ウェブサイトを作る + ショッピングカートシステム導入
  2. ネットショップASP
  3. ECモールへの出店

ひとつめは、レンタルサーバーを契約してウェブサイトをつくり、そこにショッピングカートシステムをくっつけるという方法です。

ふたつめは、ASPと呼ばれるサービスを契約して、その管理画面上でショッピングサイトを作る方法です。

みっつめが、楽天・Yahoo!・Amazonのようなショッピングモールに出店する方法です。

「ECモール」とは

ECモールとは、ネットショップの大きな集合体です。あなたのお住まいの町にもたぶん大型ショッピングモールがあると思います。ECモールもそれに似たようなもので、「ネット上のショッピングモール」だとお考えください。

たとえば、楽天市場のホームページを見ると、さまざまな商品がぎっしり並んでいます。この商品を注文すると、楽天に出店しているネットショップから商品が送られてきます。

Amazonの場合はAmazonの倉庫からAmazonの箱で送られてきますが、実際に商品を仕入れたり取り扱っているのはAmazonに出品している事業者です。

このように、多数の事業者が出店して、そのモールの名前やインフラを利用して商売をしているのが「ECモール」です。

モール出店とネットショップASPの違い

モール出店とネットショップASPでは、ショップ運営の作業の方法自体はよく似ています。すなわち、ウェブブラウザで出店サービスの管理画面にアクセスして、画面上で入力をして作業をしていく、という手順です。

モール出店でもネットショップASPでも、注文管理、カートシステム、商品ページを作る機能などは提供されます。この点は共通しています。

ただし、ASPは、基本的には機能を提供してくれるだけです。

ASPで作るネットショップは、リアル社会で例えるなら個別で物件を借りてオープンするお店のようなものです。「楽天内のネットショップ」が作りたければ、楽天と契約する必要があります。

モール出店は売れやすい

モール出店のメリットは、売れやすい要素がいろいろとある点です。モールそのものが巨大であるがゆえに、個別店舗では得られないメリットがいくつかあるのです。

  • 客から見て購入ハードルが低い
  • ネット検索に強い
  • サポートが比較的手厚い
  • アフィリエイトプログラムが用意されている

「リアル店舗で商売をしてきたけど、ネットのことが全くわからない」とか、「それなりに投資はできるけど、商売自体が初めて」という方には、モール出店でのネットショップ開業がおすすめです。

モール出店のメリット 1: 客から見て購入ハードルが低い

モール自体の知名度のおかげで、お客様の購入ハードルが最初から低い。楽天、Yahoo!、Amazonの名前を知らない人は、もはや年代問わずいないといってもいいくらいです。

もちろんモール内のショップは小さな事業者が運営していることもあるのですが、お客様の意識としては「楽天で買った」「Amazonで買った」というほうが強いのです。

また、モールが用意しているポイント制度も購入のハードルを下げます。楽天ポイントやYahoo!ショッピングのTポイント・PayPayボーナスなど、日本中のリアル店舗でも使えるポイント制度がネットショップでも使えます。これは大手ならではのメリットです。

モール出店のメリット 2: ネット検索に強い

大手モール自体が持つウェブサイトは検索エンジンが高い評価をつけているので、モール内にネットショップを出店すると、比較的早くネット検索に現れるようになります。

これがASPやレンタルサーバーで作った単独ショップの場合は、開店しても検索エンジンに見つけてもらうまでに数ヶ月はかかるのがふつうです。

モール出店のメリット 3: サポートが比較的手厚い

  • 開店までの準備について電話で質問できる
  • 店舗ごとに専任のコンサルタントがついてサポートするサービス
  • 出店方法や売上UPの方法を学べるオンラインドキュメント

などが用意されています。

モール出店のメリット 4: アフィリエイトプログラムが用意されている

アフィリエイトプログラムとは、ネットショップの運営側からみると、広告の一種です。商品を第三者がブログ等で紹介して、商品が売れたら紹介者がいくらかの報酬を受け取る仕組みです。

Yahoo!、楽天市場、Amazonいずれもモール全体をカバーするアフィリエイトプログラムを用意しています。つまり、これらのモールに出店すれば、どこかのブログが勝手に商品を紹介してくれるかもしれないということです。こちらから特に何もお願いしなくても、です。

単独店舗の場合、アフィリエイト広告をやるにはそれなりのハードルがあります。別途アフィリエイト広告業者と契約する、自前でアフィリエイト制度を構築する、などが必要です。

モール出店のデメリット

充実したサービスが受けられるモール出店ですが、デメリットもあります。

費用がかかる

モール出店はサービスが充実しているだけに、利用料は高めです。

また、モール内広告の費用もかかせません。

モールの利用者はモール全体での商品検索を多用します。売上をより上げるためには、他のショップよりもリストの上に表示されるべきです。そのためにはモール内広告を利用します。またアフィリエイト広告にも費用が徴収されます。

「モールは比較的売れやすい」とはいっても、出店すれば何もせずともお客様がどんどん来るというわけではないので、出店料以外の出費も必要です。

安売り競争に巻き込まれやすい

モール全体での商品検索が多用されるおかげで、他のショップとの比較も容易です。

利用者は同じ商品を複数のショップで比較して、いちばん安い商品を買います。だから値下げ競争が常に起こっています。

オリジナル性の低い商品を扱うショップの場合、安くても数を多く売って利益を上げる体制を整えないと (それだけ人手も必要)、モール出店で成長していくのはなかなか大変だと思います。


ここからは、Yahoo!ショッピング、Amazon、楽天市場の各ECモールへの出店についてかんたんに説明します。

Yahoo!ショッピングへの出店

Yahoo!ショッピングは、出店料が無料です。そのかわり、ポイント制度と各種プロモーションの運営費を売上から一部支払います。

Yahoo!運営のショッピングモールにはもうひとつ「PayPayモール」があります。こちらは出店に条件があり、上場企業のみが認められます。

Amazonへの出店

Amazonでの販売には小口と大口、2種類のプランがあります。出品料は小口が商品1点ごとに100円、大口が月額4,900円で、加えて売れた商品に対して販売手数料がかかります。

Amazonフルフィルメントを契約すると、商品の発送や返品対応をAmazonに任せるようにできます。この場合は商品をAmazonの拠点に納品します。Amazonの商品ページでPrimeのマークがついているのがそれです。

楽天市場への出店

楽天市場の出店料はスタンダードプランで月額50,000円で、半年分ずつ支払う必要があります。そのほかにシステム利用料やアフィリエイト広告利用料、オプションでメルマガ利用料などがかかります。

ECモールの中では利用料がいちばん高いです。そのかわり数々のサービスが手厚く充実している、というのを売りにしています。

ネットショップ開業・開設について全般的なことが知りたい方は「ネットショップを開業するには」を読んでみてください。