Google Adsense (アドセンス) を自分のサイトで利用しているサイト運営者向けのお話。最近、不快な広告が大量に出ている現状をご存知だと思います。
不快広告はAdsenseの管理画面 (広告レビューセンター) でブロックすることができます。ただ、広告をブロックしていくことで収益が下がるのではないか? と心配して、ブロックをするかどうか迷っている方もいらっしゃると思います。
気にしなくて大丈夫です。不快広告はどんどんブロックしていきましょう。
ちなみに不快広告とは、たとえば次のような表現や画像を使った広告のことを言っています。
- 目の下のくまやたるみ、白髪、肌のシミをやたら強調した写真
- 鼻の角栓をやたら強調したイラストや写真
- 歯並びや歯の黄ばみをやたら強調した写真
- 太った人をやたら強調したイラストや写真
- 北の某国や戦争を強調するヘイト系書籍
- 露出が多すぎる衣装を着た萌え系キャラ
- エロ漫画の一場面
なぜ「不快広告をどんどんブロックしても問題ない」のか
- 多少収益が減る可能性はある
- が、長いスパンで見るとほとんど変わらない
- ブロックしないことによるデメリットのほうがずっと怖い
くわしくご説明しましょう。
実際に不快広告をブロックしてみた結果
実際にどうなのかという話ですが、私が運営したり関わっているいくつかのサイトでは、ある時期から不快広告をつぶさにブロックするようにしました。その前後でどうなったかというと、結果はこういう傾向でした (具体的に期間や数値を挙げることまではできないので、ご了承ください)。
不快広告をブロックする前と後の期間を1ヶ月単位で比べると
- 収益が10〜20%下がったサイトはあった
- クリック率は全てのサイトで少し上がった
半年単位で比べると
- ほとんど変わらない
- 収益が上がったサイトもある
ちなみに「不快広告をブロックしたから、こうなった」と因果関係を証明できるわけではない (他の要因の可能性もあり) です。あくまで私のところではこういう感じだった、という話です。
不快広告はクリック単価がそれなりに高い
不快広告は誰が見ても不快なのですから、誰も好き好んでクリックはしません。なので、クリック率はごく低いと考えられます。うっかり興味本位でクリックしてしまうごく少数の人をターゲットにする作戦ですね。
そこで不快業者は、多量・高額に出稿します。だからクリック率は低いものの、クリックされればそれなりに高単価のはずです。
もしあなたのサイトが、もともと不快広告からの収益を得ていたとしたら、不快広告をブロックすると収益が減るのは当然です。
長いスパンで見ると変わらない、または逆に収益が上がるサイトもある
しかし、私のところでそうだったように、長い目で見ると収益はあまり変わりませんでしたし、逆に上がったサイトもありました。
なぜそうなったのか、推測ですが、次のようなことが言えると思います。
- 不快広告をブロックすると、その分の収益が一時的に減る。
- 不快広告がいなくなると、サイトの内容にマッチした広告が表示されるようになる。
- すると読者にとっては快適なので、広告に対する心理的障壁が下がり、クリック率が上がる。
Google Adsenseはもともとはサイトの内容にマッチした広告を表示するはずです。しかし不快広告が多量・高額に出稿されるせいで、そのほかの広告は表示の機会をかなり奪われています。
「サイトにマッチした」広告が無視されている
例えば「西宮市のできごとや歴史を伝える地域情報サイト」にAdsenseを入れたら、阪神間の不動産や、芦屋や夙川のお店の広告が (もし出稿されていれば) 並ぶはずです。
しかし、不快広告があまりに大量に出されているため、本来の「サイトにマッチした」広告が無視され、目のたるみとエロ漫画の広告ばかりが出てくる、という異常な状況になってしまうのです。
この状況の不愉快さをなにより享受するのは、読者 (サイトユーザー) です。
不快広告を徹底的に取り除くと、サイトにマッチした広告がふたたび現れるようになります。つまりあるべき姿に戻っていきます。読者にとってもそのほうが自然なので、全体的にクリック率が上がり、結局はプラスマイナスゼロ、または収益の上がるサイトも……という結果になると考えています。
不快広告を「ブロックしない」ことのほうが怖い
- 不快広告 = 違法広告の可能性
- 不快広告 = 詐欺まがい商法の可能性
- 「不快広告を垂れ流すサイト」というレッテルこそ収益を減らす
不快広告 = 違法広告の可能性
不快広告は、違法広告である可能性も高いです。コスメやサプリなどが影響を受ける薬機法では人を不愉快にさせる表現や比較表現 (ビフォア&アフター)、権威表現 (医師が薦めているふうを装うなど) は禁止されていますが、不快広告の多くはそういう表現を用いています。
ヘイトや過激なエロなどはGoogle自身が広告ガイドラインで禁じています(じゃあなぜそんな広告が流れている? という矛盾が残る)。
不快広告 = 詐欺まがい商法の可能性
不快広告によって宣伝されている商品は、特にコスメやサプリなどで、まともではない売り方をしている場合もあると言われています。前述のように不快広告を好き好んでクリックする人はほぼいないので、うっかり購入まで至ってしまった人からは徹底的に搾り取るという方針の商売だろうことは想像に難くありません。知らないうちに定期購入を設定させられ、いくら連絡しても解約してもらえない、といった話も聞こえています。
不快広告を野放しにしておくことは、詐欺の片棒を担ぐことになる可能性がある、ということです。
不快広告はブロックして、サイト改善で収益を伸ばそう
「不快な広告を垂れ流し続けているサイト」というレッテルを読者から貼られ、敬遠されることのほうが、長期的に収益を減らす原因になるのではないでしょうか。
もし不快広告をブロックして収益が下がるとしても、他の方法 (つまり、サイトの改善) で収益を伸ばす余地はあるはずです。以上のことから、Adsenseの不快広告は遠慮なくブロックして構わないと考える次第です。