Instagram (インスタ) をお店のホームページ代わりにするのは本当にやめてください

最近、お店を探してGoogleマップなどを見ていると、お店の公式ウェブサイトの代わりにInstagramのアカウントページを載せているところが多いです。

一般客として、これ本当に困る。あーまたか、と思い、見ないでスルーしています。また、ウェブのプロとしても「これあかんのになあ、わかってほしいな……」と残念な気持ちになります。

お店の公式ウェブサイトの代わりにInstagramのアカウントページを使うのはやめよう

Instagramが特に目立つので槍玉に挙げましたが、インスタに限らず、X (Twitter) でもFacebookでも同じで、SNSのアカウントページを事業やお店の公式ウェブサイト代わりにするの、NGです。ちなみに個人事業のクリエイターなどでも同じことが言えます。

「選ばれるお店」「選ばれるサービス」でありたいなら、独自ドメインのついたウェブサイトを持ちましょう。無料とは言わないまでもかなり安い値段でやる方法があります。

気持ちはわかります (お金かかりそう、やりかたわからない)

事業のウェブサイトをインスタにしている個人経営者の方の気持ちはたぶんこんな感じだと思います。

  • ウェブサイトなんてそもそも作り方わからないし
  • 制作依頼したら結構なお金がかかるし
  • 「ホームページは古い、今はSNSの時代」みたいなことを聞いたし
  • 「インスタ集客が最強!!」ってインフルエンサーが言ってたし
  • 知り合いのお店もインスタで済ませてるって言ってたし

気持ちはわかります。ウェブ活用のことって、みなさん知識がないので、何となく周りを見てなんとなくで右へならえ、されてる方がすごく多いです。

「みんなインスタ使っているよね?」は自己中すぎる

「私の周りはみんなインスタ使っているから、インスタでいいよね?」という考えは、あまりに自己中心的すぎます。

スマホを持っている人が全員インスタのアカウントを持っているわけじゃありません。

XやFacebookも然り、LINEだって使わない人はいます。世の中の全員が使っているSNSなんてないのです。

むしろこんなに情報が溢れかえっているこの世の中で、利用するSNSを1つか2つに絞ったり、あえて使わないという選択は誰もがしています。

そんな今だからこそ、SNSのアカウントページを事業やお店の公式ウェブサイト代わりにするのは良くないのです。

インスタを公式ウェブサイト代わりにしてはいけない理由

なぜ、インスタやその他SNSのアカウントページをお店の公式サイトとして使ってはいけないのか?

理由は簡単にまとめただけでも5つあります。

  1. インスタを利用していない人にはほとんどの情報が見れないから
  2. いつ使えなくなるかわからないから
  3. フォローしない人を蚊帳の外に置くから
  4. DM問い合わせは文面を客が自分で考えないといけないから
  5. SNSは「検討に値する情報」を置けないから (例えば単価の高いサービス)

ひとつずつ説明していきます。

理由1: インスタを利用していない人にはほとんどの情報が見れない

「お店の公式サイト」代わりのインスタのアカウントページ、インスタのアカウントを持っていない人にはどういうふうに見えているか、ご存知でしょうか?

インスタにログインしないで見た画面1
ひとまず画面を開くことはできる。しかしコメントの詳細を読むことはできない。
(画面の内容は本文と関係ありません)
インスタにログインしないで見た画面2
コメントの「続きを読む」をクリックしたり、画面をスクロールしていくと、ポップアップが出てきてそれ以上読めなくなる。

いちおう、ページを開くことはできます。しかしコメントの続きを読もうとしたり、詳細を知りたくてスクロールしたりすると、アプリのインストールを勧めるポップアップが出てきて、それ以上読めなくなります。

お店の最近の情報や営業時間の確認など、かんたんなことが知りたいだけでも、まともに読めない。そんな思いをした人は、別の店を探します。こうして営業機会をひとつ逃しました。

だから「公式サイト」をSNSのアカウントページにしておいてはいけないのです。

怖いのは、自分が常にインスタにログインしている状態だと、これに気づけないことです。

ちなみに、XやFacebookページでも似たようなことが起こります。

理由2: いつ使えなくなるかわからない

SNSのアカウントページは、いつ見れなくなるか、使えなくなるかわかりません。なぜなら、そのページはあなたの所有ではなく、SNSの運営会社から「使わせてもらっている」だけだからです。

「インスタは大丈夫」と思っている方。去年、Twitterに何が起きたかをご存知でしょうか。

例のアメリカの宇宙好きの実業家が買収して、ロゴどころかサービス名まで変わり、今まで無料で使えていたツールが使えなくなり、見られる情報に制限がつき、以前はTwitterで得られていたチャンスを多くの人が失いました。

あるいは、国産SNSのmixiをご存知でしょうか。最盛期は「周りに使っていない人を探すほうが難しい」とまでいわれたサービスですが、今は利用している人を探すほうが難しくなってしまいました。

こんなふうに、SNSは運営会社の一存で突然使える機能が変わったり、流行り廃りの波が常にあり、「みんなが使っている」SNSは移り変わっていきます

「数年後、誰もインスタをやっていない」になるなんて信じられない、と思うかもしれませんが、「数年後、インスタで仕様変更があり、ログインしていない人にはアカウントページが断片すら見られなくなる」だったら十分ありそうだと思いませんか。

だから「公式サイト」をSNSのアカウントページにしておいてはいけないのです。

理由3: フォローしない人を蚊帳の外に置く

インスタのアカウントページをお店のサイトとして使っているところの多くは、「お問い合わせはインスタのDMで」としています。

しかし設定によってはフォローしあったアカウント同士でないとDMを送れないですし、そもそも、インスタのアカウントを持たない人には問い合わせができません。

外部の人間から見ると「『インスタでフォローしないなら問い合わせを送ってくるな』という意味だろうか?」と思ってしまいます。

そうやって知らずのうちに新規客を遠ざけているのです。結果、問い合わせのほとんどが知り合いや常連ばかりだったりする場合もあるでしょう。

理由4: DM問い合わせは文面を客が自分で考えないといけない

「お問い合わせはDMで」とすると、客は自分で文面を考えなくてはなりません。DMでお問い合わせって気持ちのハードルが高いのです。

誰しも経験があると思いますが、自分で問い合わせの文章を考えるのはそれなりに手間がかかります。「ほんとにこの窓口であってんのかな? あと何書いたらいいのかな? 情報が足りなくて断られたりしないかな?」なんて不安になりながら。

途中で「もういいや」となってしまう人もいます (ウェブ業界ではこれを「離脱」といい、避けるべき事象のひとつです)。

だから「お問い合わせはDMで」ではなく、問い合わせフォームを設けておくほうがいいんです。お客様に必ず尋ねたいことを項目として用意しておき、何を書いたらいいか、迷わせないようにします。

インスタやその他SNS上で問い合わせフォームは作れませんから、問い合わせフォームを設置しておくにはウェブサイトを用意すべき、という話になります。

理由5: SNSは「検討に値する情報」を置けない (例えば単価の高いサービス)

少し単価が高いサービスや、強めのコンセプトがあるお店に対しては、客のほうも飛び込みというよりは、あらかじめ情報を調べて検討をしてから行くかどうかを決めたい、という気持ちがあります。

しかしSNSだけでは、客は「検討」がしづらいのです。それは、流れるタイムラインや短文のプロフィールといったSNSの造形自体が、検討に値する情報を揃えておくのに向いていないからです。

だからこそ、SNSではなくて、ウェブサイトに情報がまとまっていてほしいのです。

例えば記念日などがあって「どこのお店を選ぼうかな」と思っている人にとっては、流れるタイムラインをただ眺めるのは効率が悪い。むしろ、場所はマップアプリで見つけられるので、マップの情報からリンクされたウェブサイトをつぶさにみて「ここはどうかな?」と検討できるほうがいいのです。

じゃあ、どうすればいいのか? →ウェブサイトを作るべき

お店や事業の情報は、誰でも読めるところ = ログインしなくてもいいウェブサイト に置いておくべきです。どう考えてもそのほうが商売上、得です。

だから、インスタやその他SNSのアカウントページを公式サイトとするのはやめて、ウェブサイトを作りましょう。

「お問い合わせはDMで」ではなく、問い合わせフォームを設けましょう。予約フォーム、申し込みフォーム、名前はなんでもいいです。お客様に必ず尋ねたいことを項目として用意しておきます。何を書いたらいいか、迷わせないようにします。

予約管理システムを設けるのもいいでしょう。

何を書いたらいいかわからない、という向きもあるかもしれませんが、お店の信念やコンセプトなどをシンプルに表現するのがいいです。

また、お客様からよくある質問を集めて、FAQとして掲載しておきましょう。FAQが充実すれば、質問onlyの問い合わせに対応する手間が削減できます。

「インスタで繋がっていない客お断り」ならばSNSオンリーでもいい

もし確固たる信念があって「インスタで繋がっていない客お断り」というならば、ウェブサイトを作らず、インスタを公式サイト代わりとし、インスタだけで集客したらいいと思います。

しかし、そんな信念からインスタを公式サイト代わりにしている事業者さんなんて、ほぼいません。

多くの人は、ウェブ活用って必要なのはわかるけど、どうしたらいいかわからないので、自分と周りの人が多く使っているSNS = Instagramが最強だと、主観的にそう思ってしまっただけなのです。

SNSを使うな、ということではない。ウェブサイトとSNSは使い分け/両立が重要

ウェブサイトを持て、というのは、SNSをやるなという意味ではありません。

SNSとウェブサイトには違う役割があるので、それを理解して、両方やっていくのがこの時代には必要です。

SNSをうまく使ってお客様とコミュニケーションを取っていくのはとても良いことです。しかしSNSのタイムラインはなんとなく流れていくものであって、受け手もそんなに真剣に見ていない、という特徴があります。

だから、どのお客様にも伝えたい基本的な情報や、コンセプトの芯の部分は、ウェブサイトにまとめておきましょう。ウェブサイトを見にくるお客様というのは、SNSとは違って、わりと真剣にその情報を見ています。

SNS活用というと誰もがすぐ「バズりたい」といいますが、そんなことよりもやるべきことは、「お店の特徴やコンセプトをきちんと伝わるようにする」ことです。

「お店の特徴やコンセプトをきちんと伝えたい」と思ったら、それはSNSよりもウェブサイトのほうが向いているのです。

無料でウェブサイトを作れるサービスはいくつもある

ワードやエクセルが使えるレベルでウェブサイトを作れるツール / サービスはいくつもあります。ジンドゥとかペライチ、Wixなど聞いたことありませんか? あるいはGoogleサイトも簡単でいいと思います。

こうしたサービスのほとんどは無料で使い始めることができます。

ただし、注意してほしいのは、事業用のウェブサイトには独自ドメインが必須なので、完全無料では使えないということです。

独自ドメインは1年間につき1,000〜5,000円くらいの費用がかかりますし、ドメインの割り当てをしたい場合に有料プラン加入なサービスもあります。

わずかとはいえ費用はかかってしまいますが、独自ドメイン付きのウェブサイトを持っていることのメリットは必ずあるので、ぜひ検討してみてください。

ウェブサイト制作ツールの話や独自ドメインのことは当サイトでも他の記事でお伝えしていますので、よかったら他にも読んでみてください。