「右クリック禁止」がいかに意味がなく、不毛で、迷惑なのかを説明します。
ウェブサイトの「右クリック禁止」は、導入するべきではありません。なぜなら、利用者が自分で回避できるので意味がなく、他の機能も制限するので利用者に迷惑だからです。
「右クリック禁止の方法ってどうやるの? 私のサイトで画像のダウンロードやコピペを防ぎたい」と思ってこのページにたどりついた方もいるかもしれません。でも、残念ですけど、右クリック禁止には願ったような効果はありません。利用者に面倒くさい思いをさせるだけです。
なぜ、右クリックを禁止するの?
一般的には、右クリック禁止はこのような理由で導入されています。
- 画像のダウンロードを防ぐため
- 文字を選択してコピーされるのを防ぐため
- HTMLソースを見られるのを防ぐため
つまり、
「画像を勝手にダウンロードされて転用される」
とか
「文章やコードを丸ごとコピーされて転用される」
などの、著作権を無視した行為を防ぐ効果がある、と一部では信じられています。
右クリック禁止を設定するには
代表的な書き方は次のとおりです。
<body oncontextmenu="return false;">
少しのコードを書くことさえできれば、ウェブ初心者でもかんたんに取り入れることができます。
しかし、かんたんだからといって、安易に取り入れないでください。
右クリック禁止には、期待したような効果はない
ウェブサイトに右クリック禁止を導入したい人は「画像のダウンロードやコピペを防ぐ」という効果を期待してのことだと思います。
しかしながら、「右クリック禁止」では画像のダウンロードやコピペを防ぐことはできません。
なぜか?
- 右クリック禁止は、利用者が誰でもかんたんに解除できるから
- 右クリック禁止をしても、ソースや文章をコピーする方法はあるから
- 右クリック禁止をしても、画像のダウンロードは防げないから
そして、迷惑なことに
- 右クリックの機能はコピーとダウンロードだけではないのに、利用者はそれらの機能まで強制的に奪われる
効果もなく、しかも利用者に迷惑。やらないほうがいいに決まっていますね。ここからは、くわしく説明していきます。
右クリック禁止を解除する方法
利用者側で「右クリック禁止」を解除する方法はかんたんで、ブラウザの設定を操作するだけです。
Javascriptを停止させます。Chromeなら 設定 > プライバシーとセキュリティ > サイトの設定 で全体のJavascriptをオフ、またはドメイン名を入力すると特定のサイトで停止させることができます。
ちなみに、SafariやEdgeでも同じような設定ができますし、Chromeでは専用の機能拡張も配布されています。
このように、誰でもかんたんに右クリック禁止を無効化できます。
ソースコードは右クリックをしなくても読める
右クリックを禁止してあっても、ブラウザの操作でソースコードを表示できます。例えばChromeなら 表示 > 開発・管理 > ソースを表示 です (あらかじめ別の設定が必要な場合があります)。
つまり、画像のURLを知ることも、文章の全てもソースもコピーできます。
だから、右クリック禁止は、ソースコードや文章のコピーを防ぐ効果はないということです。
「画像のダウンロード」を防ぐことは不可能である
そもそも、「ウェブページ上の画像が自分の端末で見える」のはなぜかというと、その画像がダウンロード(※)されたからです。
※画像フォルダに格納されていなかったとしても、端末中のどこかには存在します。
もし、画像がダウンロードされることを完全に防ぎたいのならば、ウェブ上に画像を掲載すること自体を取りやめるしかありません。
ウェブとウェブブラウザ自体の仕組みが「そういうもの」なのです。
また、ソースコードを読めば、画像のURLを割り出して直接ダウンロードすることもできます。
あるいは、なんとかして画像のURLを知られないようにしたとしても、スクリーンショットは撮れます。
だから、右クリック禁止で画像のダウンロードをを防ごうとすることは、不毛です。
本当に防ぎたいのはダウンロードではなく、無断転用なのでは
画像の転用を防ぐのには、右クリック禁止は何の役にも立ちません。
- 画像の転用を防ぎたいならば、手っ取り早く有効なのは、画像じたいを加工してすかし (ウォーターマーク) を入れておくことです。
- あるいは、COPYTRACKのような無断転用監視サービスを利用するという手もあります。
あとは、ほとんど効果は見込めませんが、画像の掲載箇所に著作権表示を添えるか。または、一般の人々の著作権に対するモラルに期待するか… (学校教育にも期待したいところ)。
画像の無断転用も、完全に防ぐのは難しいものです。
右クリックの機能は、コピーとダウンロードだけではない
右クリックが持つ機能は画像の保存とコピーだけではありません。右クリック禁止は、他の機能も一律で禁止します。だから利用者にとっては迷惑この上ない。
個人的によく使うのが、辞書と翻訳と検索です。「この言葉ってどういう意味?」と思ったとき、その言葉を選択して右クリックすれば、辞書や検索へ素早く送れます。また英語のサイトを読んでいるときは翻訳が活躍します。
私の環境はMac/Safariですが、右クリックの機能はOSやブラウザによって異なります。ほかにもこんな機能が付いていることがあります。
- コピーした文章をメールやSNSにシェア
- ブックマーク追加
- 文字サイズを大きく/小さくする
- 文字の読み上げ機能 (スピーチ) ……アクセシビリティ補助機能としてよく使われるもの
「右クリック禁止」はこれらをすべて一律で禁止します。控えめに言っても迷惑です。
コピー = 悪用?
だいたい、「コピー = 悪用」として全部禁止する考え方自体がおかしいですね。例えば次のようなシーンはどうでしょうか。
- 固有名詞などの記述ミスを防ぐため、ウェブサイトからコピーしてくる
- 内容が参考になったので、後から読み返すために個人で見るメモアプリに一文を保存する
「右クリック禁止」を採用するべきでない理由、おわかりいただけたでしょうか。
右クリック以外にも、スワイプ禁止・コピー禁止・スクロール禁止なども迷惑
右クリック以外にも、Javascript等を使って、OSやブラウザのありのままの操作を制限するウェブサイトがあります。
OSやブラウザがもともと持っている動作を殺す行為じたい、基本的にはやってはいけないこと
だと考えています。
もちろん、何かどうしても必要な理由があるならば、UIをむりやり改造するのもやむを得ないでしょう。しかしながら、長年ウェブサイト制作に関わっていますが、その「どうしてもの理由」に遭遇することは非常にまれです。
「右クリック禁止」のような改造はむしろ無反省に、「制作者の個人的なこだわり」や「依頼者の政治的判断」などの理由で行われ、利用者がどう思うかは置き去りにされているというケースが、残念ながら多いようです。
[まとめ]「右クリック禁止」を導入してはいけない理由
この記事でお伝えしたかったことは、次のとおりです。
- ウェブサイトの「右クリック禁止」はHTMLソースにコードを一文追加すれば実現できる。しかし、導入するべきではない。
- 「右クリック禁止」を設定しても、利用者が自分で回避する方法がいくつもある。
- 「右クリック禁止」を設定しても、画像や文章のコピーを防ぐことはできない。
- 「右クリック禁止」には画像の転用を防ぐ効果はない。画像自体を加工するなどのほうが効果がある。
- 右クリックには、辞書やブックマークなど、さまざまな便利な機能がある。「右クリック禁止」はそれらの機能も一律で禁止するので、利用者に迷惑である。
もし、上司やお客様から「右クリック禁止を入れろ」と言われて困ってしまったら、このリストをコピーして送ってあげてください。右クリックでコピーできますよ。