法人向け・企業向けのレンタルサーバーと個人向けレンタルサーバーの違いを述べます。
ウェブサーバーそのものは、個人用と法人用が明確に分かれているわけではありません。その違いは主にサービス内容やスペックです。「法人は絶対専用サーバーを使わなければならない」なんてことはなく、使い方によっては法人でも共用サーバーで十分なことも多いです。
ウェブサーバーそのものが法人用/個人用と分かれているわけではない
ウェブサーバーは規模が大きくても小さくてもしくみはそう変わらず、「法人は専用のウェブサーバーを使わなくてはならない」という決まりや技術的制限があるわけでもありません。
しかし、サーバー会社のウェブサイトを見てみると、「ビジネスプラン」とか「法人向けサーバー」といったサービス名や文言が出てきます。
これらが個人用とどう違うかというと、多くはサービス内容の違いです。加えて、サーバーのスペックや付加機能の違いもあります。
主な違いは、サービス内容とスペック
レンタルサーバーの個人向けのプランとビジネス用のプランの違いは、もちろんサービスによって違いますが、よくあるのは主に次にようなものです。
サービス内容の違い
よくあるのは、問い合わせが手厚くなるサービスです。個人向けの安価なプランではメールでしか問い合わせが許可されていないが、法人向けプランでは電話問い合わせもOK、土日の問い合わせにも対応してもらえる、といったサービスがあります。
そのほかに、サーバーの監視や異常の際の連絡などがオプションとして加わる場合もあります。
法人向けのサーバーでは休日であれ突然のサーバートラブルで事業に影響が出ることがあるため、このようなサービスが加えられているのです。
スペックや付加機能の違い
法人プランには、個人よりも高スペックなサーバーが使えたり、あるいは、セキュリティを高める機能などが加わっていたりします。
社員の人数が多かったり、多くのアクセス数を見込んでいたりすると、サーバーが高スペックなほうがより安定して利用できます (サーバーはコンピューターと同じなので、CPUやメモリなどを増設すると動作が良くなります)。
セキュリティの穴をついた攻撃などによってサーバーの動作が不安定になったり、トラブルが発生すると、事業に影響を及ぼすことがあります。そこで、ビジネス向けのプランには個人向けより手厚くセキュリティ機能を搭載してあることがあります。
「共用サーバー」と「専用サーバー」の違い
ビジネス向けのレンタルサーバーを調べているとよく遭遇する「共用サーバー」と「専用サーバー」について、どのように違うのかをまとめます。詳しくは後述しますが、「法人は必ず専用サーバーを使うべき」というわけではありません。
共用サーバー
- サーバーコンピューターの限られた領域を借りる
- 必然的に、一つのコンピューターを複数の契約者で共用する
- 他の契約者の利用状況の影響を受ける可能性が少しある
- 個人向けプランから法人向けプランまで、選択肢が幅広い
専用サーバー
- サーバーコンピューター1台を丸ごと借りる
- 他の契約者の利用状況の影響を受けない
- もしコンピューターが高スペックだったら、その恩恵をそのまま享受できる
- 基本的には、サーバーに非常に詳しい技術者が自社内にいる必要がある (代わりにサポートしてくれるサービスもある)
- 利用料は高価
個人向けレンタルサーバーの特徴
- 個人向けとして提供されているレンタルサーバーは、ほぼ全てが共用サーバーです。
- 価格は企業向けより安く設定されています。
- ただ、昨今は個人でもウェブサイトを持ちたい人が増えているので、各社競うように機能を増強しています。
専用サーバーを個人が契約してはいけない理由は何もないのですが、ほとんどの人には必要ないであろうと思われます。例えばアフィリエイトをやっている人で複数のサイトを運営している場合でも、共用サーバーで多くは事足ります。なので、個人向けにおすすめされるレンタルサーバーはほぼ全て共用サーバーです。
個人向けサービスですから、やはり値段はビジネス向けに比べて安く設定されています。そのかわり、サーバー容量やスペックはおさえ気味であることが多いです。よくあるのは、データベースが1〜5つくらいまでしか持てないとか、ドメインの割り当て件数の制限などです。
ただ、昨今はサーバー各社が競うように、機能の増強や価格の引き下げなどが続いています。最近は個人でも多くの人がWordPressを利用したがるので、サーバー速度やセキュリティ機能を増強しないとサービスの評価を受けづらい、という背景があります。
法人でも「ふつうの使い方」なら共用サーバーでかまわない
企業は専用サーバーでなくてはいけない? 別にそんなことはありません。企業でも、規模ややりたいことによっては共用サーバーのプランでも十分です。
「ふつうの使い方」、つまり「ウェブサイトは会社サイトがひとつだけ、メールアドレスは社員のぶん20〜30くらいあればいい」という状況で、専用サーバーを借りるのはどう考えてもオーバースペックといえるでしょう。
ひとくちに「法人向けのレンタルサーバー」といっても、それぞれの会社でやりたいこと・事業ドメインによってそれぞれに違うはずです。
例えば「オンラインで業務システムを動かす」とか「ウェブサービスの専業」とかだったら、当然専用サーバーかそれに準じるサーバーが必要です。というか、システム担当の方が開発と同時に検討しているはずで、こんなブログ記事で調べていたりはしないと思います (笑)。
法人向けと個人向けのレンタルサーバーの違い
この記事でお伝えしたかったことは、次のとおりです。
- ウェブサーバーそのものが、技術的に「個人専用」「法人専用」と分かれているわけではない
- では何が違うかというと、主にサービス内容、次にサーバースペック
- ウェブサーバーには大別すると専用サーバーと共用サーバーがある
- 法人でも、「ふつうの使い方」なら共用サーバーで十分な場合もある
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