WordPressプラグイン開発を依頼するには?知っておくべきこと&考えること

WordPressプラグインの開発依頼を考えている方に向けて、制作価格の話、テーマとプラグインの違い、どんな事例があるかなどをお伝えします。

開発者向けの情報、WordPressプラグインを開発して公式ディレクトリに載せる具体的な手順はこちらをご覧ください。

WordPressプラグインを公式ディレクトリに登録する方法 – クリエイター丙

そもそも、WordPressプラグインとは

プラグインとは、機能を追加するためのプログラムの小さな集まりをいいます。WordPressにもプラグインがあります。

WordPressはウェブサイトを構築するための枠組みですが、ウェブサイトには必要な機能がいろいろとあります。すなわち、問い合わせフォーム、SEO関連の機能、特別なコーナー記事を投稿するためのしくみ、などなど。そういった機能がプラグインとして提供されています。

WordPress管理画面の「プラグイン > 新規追加」で検索すると、さまざまなプラグインを見つけることができます。

WordPressプラグイン開発
WordPress管理画面でプラグインを検索したところ

ちなみに、ここで検索して出てくるのは公式ディレクトリに登録されているプラグインだけです。これは、世界各地の開発者が作ってWordPressの運営団体に送り、審査をクリアしたものだけが掲載されます。これ以外に「認可外」プラグインとか、あるサイト専用に作られて配布さえされないプラグインもあります。

プラグインとテーマの違い

WordPressにはプラグインのほかに「テーマ」もあります。テーマは主にウェブサイトの見た目を整えるために使うファイル群です。

しかし、テーマの中にもプログラミング関数を書くことができるので、テーマだけでいくらかの機能を含めることもできます。実際、WordPressでウェブサイトを作るデザイナーや開発者の中には、オリジナルの機能をすべてテーマの中にプログラミングしているという人もいます。

ただ、WordPress公式の見解としては、テーマは見た目、プラグインは機能、と棲み分けをしたほうが良い、ということになっています。たとえば、公式テーマ(WordPressの管理画面で検索すると出てくるテーマ)はすべて「プラグインのような機能を持たせてはいけない」というルールのもとに作られています。

私は、テーマ=見た目とプラグイン=追加機能はできるだけ分離しておくほうがよいと考えています。テーマを変えても機能が残る作りにしておくと、リニューアルや日々の調整がしやすいからです。

WordPressプラグインにはどんなものがあるか

WordPressのプラグインは、一般の人が「ウェブサイトにこんな機能がほしい」と思うような機能はおおよそすでに存在しているといっても過言ではありません。

今パッと思い出しただけでも、こんなものがあります。

  • 問い合わせフォーム
  • SEO関連の機能
  • 特別なコーナー記事を用意するためのしくみ
  • ショッピングカート(ウェブサイトを通販サイトにする)
  • 会員サイト(会員だけがアクセスできるサイト)にするしくみ
  • ログインセキュリティを強化するしくみ

WordPressがそれだけ普及していて、開発者も多いということの現れです。

これを書いている私も、プラグインをいくつか開発して公式ディレクトリに載せてもらっています。そのうちの2つを紹介します。

「シンプル目次」は、記事の途中に目次をつけるプラグインです。目次は見出しから自動生成され、記事ごとに表示するかどうかが選べます。目次プラグインは他にもたくさんありますが、折りたたみやスクロール機能は無駄なので、それらを含まないものを作りました。

「資料ダウンロード」は、いわゆるホワイトペーパーなどのダウンロードのしくみを簡単に設けることができるプラグインです。これはB to Bマーケティングでよく用いられる手法ですが、なにも高額なMAツールでなくても、小さな企業や個人事業主にも有効なので気軽に試してほしいという思いから開発したものです。

WordPressプラグインの開発が必要な場面とは?

このように、WordPressでは相当の数のプラグインが提供されています。それでもいくら探しても思ったようなプラグインが見つからないとか、どうしても独自のカスタマイズがしたい、という場合はオリジナルのWordPressプラグインを開発することになります。

私が過去に携わった事例では、こんな場面で独自のWordPressプラグインを開発したことがあります。

特定の情報を一覧表示、CSVで書き出すプラグイン

地方自治体が運営する街の情報サイト。お店情報のコーナーがあり、希望するお店にはそれぞれWordPressのログインIDを発行して、お店の担当者が自分で情報を入力できるようになっています。

入力情報にはルールがありますが、複数の人がばらばらに入力するために、ミスも発生します。それを自治体の担当者が事後チェックするために、入力された情報の一覧をCSVとして書き出せる機能を独自のプラグインとして設けました。

商品購入者の最終購入日などを調べるプラグイン

ヘアケア化粧品を扱うショッピングサイト。ショッピングカートのしくみには、有名なWordPressプラグインを使っています。顧客に細かいタイミングでお知らせメールを送ってリピート購入を促すべく、お試し商品を買ってから一定の日数が経った顧客を抽出して表示する機能を独自プラグインとして作りました。

期間限定のバナーを表示するプラグイン

最後はとてもかんたんな例です。臨時のキャンペーンや募集のための期間限定のバナー表示。

かんたんなことなので、ふつうのデザイナーならテーマファイルに直接書いてしまいます。でもこれでは、期間が終わってバナーが必要なくなったとき、テーマファイルを再度書き換えるためにまたデザイナーに依頼する必要があります。プラグインとして作っておけば、プラグイン一覧から無効化か削除するだけで済みます。

もしかしたら、既存のWordPressプラグインでなんとかなるかもしれない

WordPressプラグインにはおよそ人が思いつくような機能はだいたい存在する、と書きました。しかしながら、大半のプラグインは英語で作られている点には注意が必要です。

思っているようなプラグインがなかなか見つからない、でもじつは英語のプラグインにならぴったりのものがある、というケースが意外に多いのです。そういうときは、わざわざ一からオリジナルプラグインを開発しなくても、翻訳をすれば済みます。

WordPressの公式ディレクトリで配布されているプラグインはすべてオープンソースライセンスの元に作られているので、基本的には誰でも翻訳に参加することができます(もちろん別にエンジニアでなくてもいい)。

お目当てのプラグインを誰かが翻訳してくれるのを待つか、自分で翻訳に参加するか。あるいは、お金を払って翻訳を依頼するのもアリです。一から開発するよりはずっと安く済むでしょう。

言語以外にも、「ちょっとここの表示がこうなっていればいいだけなのに」という場合は、一部の関数を少し書き換えるだけで解決できる場合もあります。これもまた、調査費はかかるでしょうが、一から開発するよりは安く済むはずです。あるいは、プラグイン作者に要望を出してみるとなんとかなるかもしれません。

WordPressプラグイン開発依頼価格の相場とは

プラグインだけであまりに大掛かりなしくみを作ることは考えにくいので(それならサイトごと構築方法を考え直すはず)、多くは10〜40万円くらいの間におさまるでしょう。

ただし、WordPressプラグインに限らず、開発には相場というものはありません。
より手間がかかる依頼ならば高いし、そうでなければ安くすむ、そういうものです。一般的には、価格を決める要素には次のようなものが挙げられます。

  • どんな機能を持ったプラグインを開発するのか
  • 開発の難易度がどのくらいなのか
  • どのくらいの期間で作る必要があるのか
  • 開発そのもの以外の手間(中身を決めるための相談など)がどのくらいかかるのか

というわけで、依頼内容がはっきりしないと値段は答えられない、というのが本当の答えです。

WordPressプラグイン開発を依頼するときに考えるべきこと

  • 本当に独自プラグインを開発する必要がある?
  • 既存のプラグインでは実現できなさそう?

もしYesならば、プラグインの開発依頼を考えましょう。そのときには、次のような質問に答えられるようにしておいてください。

  • どんな機能が必要?
  • それは誰が、いつ、どういうふうに使うもの?
  • なぜその機能が必要?
  • 予算はどのくらい用意できるか
  • 期間はどのくらい待てるか
  • かんたんでいいから安くしてほしいのか、それとも、細かく要望を入れて作りこみたいのか(細かく、でも、安く、というのは無理なので)

もしお困りでしたらご相談ください。